お知らせ 2016年3月11日

一般社団法人新日本スーパーマーケット協会・株式会社インテージ共催

消費者購買指数・インテージパネルデータから見る
『商品価格の価格改定状況と消費者購買動向』セミナーを開催

2016年3月7日(月)インテージ秋葉原ビルにおいて、株式会社インテージと一般社団法人新日本スーパーマーケット協会は、共同で“消費者購買指数・インテージパネルデータから見る『商品価格の価格改定状況と消費者購買動向』セミナー”を開催いたしました。

開会の挨拶として、インテージ マーケティングイノベーション本部長の檜垣歩より、「マーケティングとは知覚との戦いであり、価格訴求と価格訴求以外の価値訴求を組み合わせながら、生活者を満足させることが重要だ」と提言。
そして、本セミナーのプログラムで、新日本スーパーマーケット協会から、高千穂大学大学院教授 新津重幸氏はじめ、横浜市立大学准教授 中園善行氏、新日本スーパーマーケット協会事務局長 島原康浩氏にご講演いただきました。
そしてインテージからは、マーケティングイノベーション本部 副本部長 昆 孝、パネル事業統括推進部アナリストの布施 真一郎、リテールサービス部のアナリスト牛木麻衣子が登壇し、直近の経済の動向の解説と今後の展望を提示しました。

マクロ経済指標からみた日本経済

近年の足もとの日本経済では、消費の好循環が起こらなかったが、食品スーパーの売上は堅調。「価格(物価)が上がっているのに売上も上がっているという現象がなぜなのか?」を分析していただきました。
そして最後に、来年度の増税に向けて、消費税と値札をめぐるアメリカの研究事例を紹介いただきました。

SRI一橋大学消費者購買指数から見たカテゴリー別価格改定の特長

冒頭にて、SRI一橋大学消費者購買指数を紹介。特売や価格以外の価格調整(品質や容量)による実質価格の変化も捉えられるようになっている等、いくつかの特徴を明示し、今後は新旧商品入替効果の動向に注目することで、物価全体の方向性が把握できると解説しました。
そして、具体的な価格改定の現状として、2015年の主な加工食品を事例として提示。価格改定による販売への影響タイプには、大きく2つのタイプがあるとし、「タイプ1:価格改定直後の一時的な販売の落ち込みあり」の事例としてカップ麺の事例を、また「タイプ2:価格改定による販売の影響が比較的少ない」事例として牛乳、ヨーグルトの事例を紹介しました。販売への影響には、容量の小サイズ化の新商品が多数でていることでの実質容量単価アップや、付加価値、機能性向上の高価格商品投入が、反映されていると解説しました。

業態間で消費者はこう動いた~SM・CVS・DrgSのSCI最新分析事例紹介~

SCI(インテージ全国消費者パネル)から見た、2015年の小売各業態間での消費者の動きを発表。 スーパーマーケット全体では消費者の購買金額は、ほぼ前年並みであるものの、利用回数が前年比98.8%と減少しており、他業態へお客様が流れていることが見受けられました。
その要因と具体的な打ち手へのヒントを、消費者の価値観を用いた「価値観セグメント」にて示唆しました。 「個性演出」「自分簡便」「らくらく家族」といった利便重視型と「自分ご褒美」は通販(ネット)へ、「本格派」「安心安全」といった高付加価値型はコンビニエンスストアへ、そして「安物買い」「家族やりくり」といった価格志向型はドラッグストアへと流出している、と全体としての動向を説明。
また、スーパーマーケット業態での好不調の明暗を分けたポイントは、「個性演出」「本格派」「安心安全」「家族やりくり」といった価値観に特徴のある消費者の取込みであったと解説。
具体的な施策例としては、ヨーグルトにフォーカスして各価値観タイプに支持された商品を紹介しました。
インテージのGenometricsを活用することで、これらの「価値観セグメント」を各企業のID-POSにも適応できることを紹介して発表を締めくくりました。

価格改定がもたらしたスーパーマーケットへの影響と今後の展望

2015年のスーパーマーケットの動向を『スーパーマーケット年次統計調査』よりご紹介いただきました。
その中でも、販売売上額は回復が早かったが、販売数量は減少していることを認識するべきだと指摘。今までと違うパラダイム変換がおきていると述べ、いくつかの提言をいただきました。
まずは、嗜好品を「習慣消費」にどう持っていくのかがポイントであり、その打ち出し方法として「シーズン」「健康」「機能」などがあると紹介。それを用途別カテゴリ、コーナー展開にて、打ち出せているかどうかが明暗をわけているという現状をご説明いただきました。
また、商圏内の単身世帯も「高年齢」だけではなく「若年層」もおり、その中でも「所得層が低く簡便商品を買っているタイプ」「工夫して食を楽しんでいるタイプ」などと細分化している消費者に対応しないといけないとも。さらに、業態間を動かないと一括りに把握している層も、「家を出ないタイプ」「自分の欲しいものもを無駄なく探すことに長けているタイプ」「買う店舗が決まっているロイヤリティタイプ」に分けて考え、消費者を捉えることが大事だと提言いただきました。

2017年4月導入予定の軽減税率について

軽減税率導入にあたり、75%以上が不安を感じるという回答、そして「対象商品の範囲」「レシート・店頭での表示方法」などについて疑問が寄せられている(新日本スーパーマーケット協会 軽減税率等に関するアンケート調査より)と現状をご紹介いただきました。導入にあたっての価格表示に対して、業界では本体価格表示(税抜価格表示)維持する声が多く、前回の消費税導入と同様、まだまだ課題があるとご説明いただきました。

当日のプログラムは以下の通りです。

  1. 「マクロ経済指標からみた日本経済」
    横浜市立大学准教授 中園 善行氏(新日本スーパーマーケット協会消費税研究会)
  2. 「SRI一橋大学消費者購買指数から見たカテゴリー別価格改定の特長」
    株式会社インテージ マーケティングイノベーション本部 副本部長 昆 孝
    株式会社インテージ パネル事業統括推進部 アナリスト 布施 真一郎
  3. 「業態間で消費者はこう動いた~SM・CVS・DrgSのSCI(全国消費者パネル調査)最新分析事例紹介~」
    株式会社インテージ リテールサービス部 アナリスト 牛木 麻衣子
  4. 「価格改定がもたらしたスーパーマーケットへの影響と今後の展望」
    高千穂大学大学院教授 新津 重幸氏(新日本スーパーマーケット協会消費税研究会座長)
  5. 「2017年4月導入予定の軽減税率について」
    新日本スーパーマーケット協会事務局長 島原 康浩氏
『商品価格の価格改定状況と消費者購買動向』セミナー

※ 以下より、セミナーの資料をご覧いただけます。(中園氏の資料は非公開です)